LIKE A SHOOTING STAR  

         ミツオ留学後の世界を描いた、連載ストーリーです。

 

8、また会える日まで

 

 

 1、

 

  コピー「ミツ夫くん・・・、ミツ夫くん!」

   何かに体を揺さぶられている感覚がして、ミツオは目を覚ました。

   朝日が眩しく彼を照らす。

   コピー「起きた?」

   ミツオはベッドから体を起こした。隣にコピーの姿が見えた。

   ミツオ「コピー、おはよう。・・・パー子?」

   勉強机の前に置かれた椅子に腰掛けた一人の女の子が、こちらを見ていた。

   赤いマスクに深緑のマントといえば、すぐわかる。パー子だ。

   3号「おはよう、ミツ夫さん。あなたが来るのを、家で楽しみに待っていたの。でも、いつまで経っても来てくれない。

      仕方がないから、押しかけちゃった。」

   ミツオ「でも、こんなに朝早く・・・。」

   ミツオは時計に目をやった。もう、12時を回っている。

   彼は慌てて、ベッドから飛び起きた。

   ミツオ「コピー、何で起こしてくれなかったんだ!地球にいられるのは、今日で最後なんだぞ!」

   コピー「言ってくれちゃって。ぼくは8時には君を起こそうと、何度も声をかけたよ。ちなみに、もう昼ご飯食べたんだ。」

   昨夜遅く、ミツオは部屋に帰ってきた。

   物音がしたのでコピーは目を覚ましたが、ミツオはすぐにベッドに入り込み、そのまま深い眠りに落ちっていった。

   よっぽど疲れたのだろう。

   コピーはベッドから出て、床で寝た。ミツオは、寝間着に着替えてはいなかった。

   ミツオ「そうだったかな。あまり覚えていないや。あっ、でもパー子が記憶を戻したことは覚えているよ!」

   3号「勿論よ。それも忘れたなんて言ったら、ぶっとばすわよ。」

   コピー「でも良かったね。君が寝ている間に、パー子さんから色々聞いたよ。」

         ミツオ「そっか・・・。」

   ミツオは息をもらした。そして、机から手鏡を取りだし顔を覗かせる。

   しばらくしてから、また机の中に戻すと、座布団を床に敷いた。

   ミツオ「どうぞ、パーレディ。」

   3号「では・・・。」

   彼女は座っていた学習椅子から離れると、座布団の上に腰を下ろした。昔と同じ、パー子だった。

   ミツオ「お腹空いたな。パー子はお昼食べたの?」

   3号「えぇ。ミツ夫くんのお母様は、喜んでご飯をわけてくださったわ。」

   それを聞くと、ミツオは一階へ下り、見つからないようにパンを持ってきた。

   そして飲み物と一緒に、口に入れる。

   ミツオ「ねぇ、これからどうしよう。どこかにデートでも行・・・こうかな?」

   3号「それより、家族とはもう心ゆくまで話したの?ミチ子さんや、カバオさん達は?」

   ミツオ「あぁ、そんなのいいよ。ぼくは、その・・・パー子と過ごしたいし。」

   コピーは少し驚いていた。

   ここまで彼女に自分の気持ちを素直にぶつける彼は、留学前とは大違いだ。

   3号「でも、今度はいつ地球に帰れるかわからないでしょう?」

   ミツオ「ホントに、大丈夫だから。ね、どこ行こうか?」

   3号「・・・・。」

   するとパー子は、少し考え込んでから顔を上げた。

   3号「空の上。」

   ミツオ「空?」

   3号「パータッチして、空を飛びたい。行き先はどこでもいいの。行けるところまで。」

   ミツオ「オッケー。」

   ミツオは立ち上がると、ポケットからパーマンセットを取りだしパー着をした。

   そしてパー子の手を取り、窓を開ける。

   1号「ちょっと、出かけてくるから。」

   コピー「いってらっしゃい。楽しんでね。」

   1号はうなずくと、パー子と一緒に空に向かって飛んでいった。

   コピーは一人になったのを確認すると、ホッとため息をこぼす。

   コピー「何というか・・・。大胆。あんな空間には、居づらいね。息が詰まりそう。」

   そう言うと、コピーは階段を降りた。

   すると早速、ガン子がダイニングルームから顔を出す。

   ガン子「お兄ちゃん、どこ行くの?」

   コピー「え、ちょっと外へ。」

   ガン子「ママに聞いたんだけど、この間来ていたあの服。ホントにもらい物?盗んできたんじゃないでしょうね。」

   あの服・・・、ミツ夫くんのPB制服のことか。

   コピー「盗んだとは失礼な。ガン子もそんな事を気にするようじゃ、嫁に行けないぞ。」

   ガン子「何よ〜!」

   するとコピーはガン子を振り切って、表へ飛び出した。

   バッタリとカバオ、サブ、晴三に会う。

   カバオ「やぁ、ミツ夫じゃないか。丁度いいところで会った。」

   コピー「どうしたの?」

   サブ「今度のスミレちゃんの映画のことですよ。ぼく達、成功させるために応援クラブをつくったんだ。ミツ夫も入らないか?」

   コピー「またクラブ!君達も暇だね〜。」

   すると晴三は、映画のポスターを取りだしてコピーに見せた。海辺で撮影した、あのポスターが完成したのだ。

   スミレとアリサが並んで、笑いあっている。

   晴三「ぼくらの手で、スミレちゃんを世界のスミレにするんだよ。」

   コピー「まぁ・・・、入ってあげてもいいけどね。」

   それを聞いたカバオは、持っていたカバンの中からバッヂを取りだしてコピーに渡した。

   コピー「何これ?」

   カバオ「会員の印であるバッヂだ。オレが作った。」

   そのバッヂは、スミレのイメージカラーである桃色で、下手な字で「スミレ応援クラブ」と描かれている。

   サブ「常に身につけるんだ。」

   晴三「ほら、ぼくたちも。」

   3人の胸には、確かに同じバッヂが付けられている。コピーは仕方なく、ピンを外してそれを留めた。

   カバオ「さ、これからオレん家で活動内容を考えようぜ。」

   コピー「あぁ・・・、悪いけど。今日は散歩に来たんだ。また今度にするよ。」

   そう言って、コピーはカバオ達の前から走って去っていった。

   サブ「変な奴・・・。」

 

   コピー「ふう。あいつらに捕まると、長くなりそうだからな。」

   コピーは曲がり角まで来て、カバオ達の視界から自分が消えたことを確認した。

   何故か、町を歩いてみたくなったのだ。

   晴れ渡る空の下で、ゆっくりと散歩したいと思った。

   コピー「今頃、ミツ夫くん達は仲良くデートしているのかな。」

   コピーは顔を上げた。

 

 2、

 

   3号「風が気持ち良いわ。」

   二人はパータッチをして、雲の上を飛んでいた。青い空、白い雲、そして自分たち。

   それ以外は何も見えない。

   3号「空を飛ぶのは、やっぱり最高ね。あたし、どうかしてたのよ。こんな素晴らしいものを、危うく手放しかけたわ。」

   1号「そういえば、入院したんだよね。もう大丈夫なの?」

   3号「ええ、ただの疲労だから。もうすっかり回復したわ。」

   1号「でも、あまり無理しないほうがいいよ。夜は何時間くらい寝ているの?」

   パー子は「う〜ん・・・。」と呟いてから、こう答えた。

   3号「だいたい4時間くらいかしら。」

   1号「4時間!? 体を壊すわけだよ。最低でも6時間は寝なくちゃ。」

   3号「でも、好きでやってることだもの。」

   1号は黙り込むと、雲の下を見た。

   1号「ねぇ、ここらへんで降りてみない?緑があるよ。」

   すると、パー子も雲の間から下を覗いた。

   3号「ホントね。いいわよ。」

   二人は手を放すと、そのまま雲を突っ切った。山々が連なり、古い民家が建ち並んでいる。

   広い畑では、頭巾を被った年寄り達が忙しそうに体を動かしていた。

   東京に比べ、空気もおいしい。

   3号「ここはどこかしら? 少し昔にタイムスリップしたみたいね。」

   1号「まだ、こんなところも残っていたんだ。」

   二人は地面に足を付けると、深く深呼吸をした。

   どこからともなく、鳥の鳴き声が聞こえてくる。心が落ち着くようだった。

   すると、こちらに気が付いたのか、目の前に広がる畑で働いていた老婆が、二人に近づいてきた。

   老婆「やぁ、あんたらパーマンじゃないの。噂は聞いてるが、ここまで来られるとは珍しい。」

   二人は軽く会釈をした。

   1号「どうも・・・。」

   老婆「遠いところから、良くおいでくださった。何か事件でも?」

   3号「ちょっとした観光ですわ。それにしても、ここは良い所ですわね〜。」

   すると老婆は高笑いをした。年齢は60後半だろうか。それでも、その声は老化を感じさせない生き生きとした声だ。

   老婆「そりゃぁ、そうだわさ。わしらが守ってきたんだ。この山も、この畑も、この古い民家も。」

   1号「へぇ・・・。」

   二人は辺りを見回した。

   すると、そばを歩いていた老人と目があった。その老人はこちらを見ると、笑顔を浮かべて軽く頭を下げた。

   3号「ホントに素晴らしいわ。」

   老婆「あんたら、デート中か? そんなら、良い所を知ってるよ。向こうに山が見えるだろ。あの山頂までお行き。

       パーマンだから、楽に行けるやろう。素晴らしい景色だ。」

   1号「そ、そんな!デートなんて・・・。」

   3号「オホホホ、嫌ぁね〜。おばあちゃんたら。」

   二人は顔を見合わせると、飛び上がった。

   3号「ありがとうございました。」

   老婆「気をつけてな〜!」

   パー子達は老婆に礼を言うと、教えられた山頂に向かってパータッチをした。

   

   ミチ子「ミツ夫さん、どこへ行くの?」

   目の前の曲がり角から、ミチ子が現れた。

   コピーは軽く返事を返す。

   コピー「散歩だよ。この青空を見ていたら、何故か散歩に出たくなったんだ。」

   ミチ子「あら、あたしもなのよ。まるで、空が呼んでるみたいなの。」

   − 空が呼んでいる・・・。

   コピーは靴の前に転がっていた石を蹴飛ばした。

   コピー「ミッちゃんは、ロマンティックだね。」

   ミチ子「そういえば、昨日の友達は一緒じゃないのね。」

   コピー「あぁ、ロン達のことね。」

   ミチ子「ロン?もしかして外国人だったの?」

   するとコピーは慌ててごまかした。

   コピー「えっと、まぁ・・・近いかもね。」

   ミチ子「へぇ、そうなの?」

   

 

   ロン「あぁー、暇だなぁ!」

   その頃。

   ロンはミツオのベッドの上で大きく伸びをした。ソフィ、ルーシャも一緒だ。

   ロン「地球に来たって、何もすること無いよなぁ。そういえばさ、ソフィに聞きたいことがあるんだけど。」

   ソフィ「何ですか?」

   小説を読みながら、ソフィは応えた。

   この本は、PBハウスから持ってきたソフィのものだ。

   ロン「今朝のことだけど、パー子さんがここに来た瞬間、いきなり散歩に行こうなんて言い出して。何が目的?

      そういえば、昨日も同じことがあったよな?」

   ルーシャ「にぶいわね〜。パー子さんがミツオくんの部屋に来たってことは、記憶を取り戻したのよ。そして、ミツオくん

         と色々と語り合いたいと思ったのよ。あたし達が居たら、邪魔でしょう?だから、二人が窓から出て行くのを

         見て、部屋に戻ってきたんじゃない。」

   ロン「パー子さんって、記憶を失っていたのか?」

   ルーシャ「えっ?えっと、それは・・・。」

   そういえばロンとソフィは、パー子さんがパーマンを辞めて記憶を無くしたことを、知らないのよね。

   でも、そのほうがいい。特にソフィは・・・。

   ルーシャ「う〜ん・・・、違ったかもね。」

   ロン「・・・?」

   ロンは不思議そうな表情を浮かべたが、特に気にしていないようだった。

   また、ベッドの上でゴロゴロし始める。ソフィは、小説を一頁めくった。

 

  でも、困るわよ。パー子さんが、記憶を取り戻しただなんて・・・。

  ソフィの気持ちはどうなるのよ・・・。

 

 

 

   3号「素晴らしいわ、絶景ね!」

   二人は山頂まで来た。目の前に見えたのは、清々しい自然の姿だ。

   空から見たときは気づかなかったが、民家から山を一つ越えた向こう側に、花畑が広がっている。

   山頂から見下ろした花畑は、まるで色鮮やかな絨毯のようだった。

   1号「きれいだなぁ・・・。こんなところも、あったんだ。」

   3号「素敵ね。」

   二人は草原の上に腰を下ろした。山の下に広がる花たちの香りが、ここまで届いてくる。

   3号「いつまでも、こうして見えていたいわ。」

   1号「本当だね。」

   空は少しずつ茜色に染められていった。

 

 

   コピー「またね、ミッちゃん。」

   コピーとミチ子は話を切り上げると、それぞれの家に向かって別れていった。

   気が付くともう夕方だ。コピーは足を速めた。

   家の玄関から中に入ると、コピーは階段を駆け上がっていった。

   ドアを開けると、ロン達の他に、若い女性が居たので驚いた。

   ルーシャ「ミツオくんのコピー。帰ったのね。」

   すると、コピーは女性の方に顔を向ける。

   コピー「あの・・・。」

   ロリーナ「あぁ。そう言えば、まだ会ったことがないわね。私はロリーナ。ミツオくんが実技テストを行っている架空惑星

         ミネルダを担当するバードマンよ。」

   コピー「・・・そうですか。」

   すると、コピーは部屋を見渡した。

   コピー「ミツ夫くんとパー子さんは?」

   ソフィ「まだ帰ってきてないんです。」

   ガラガラ・・・・−

   その時、窓が開いた音がした。皆、そちらに顔を向ける。しかし、入ってきたのはブービーとパーヤンの二人だった。

   4号「やぁ、皆はんおそろいで。今日、ミツオくんが発つんで見送りに来たんや。」

   2号「ウィー。」

   ロン「残念、ミツオはまだ帰っていないんだな。」

   ベッドから起き上がると、ロンは応えた。

   

   

   3号「ミツ夫さん、ミツ夫さん、起きて。」

   パー子の声に気が付き、ミツオは目を覚ました。

   1号「あれ、どうしたんだっけ。」

   3号「どうやら寝ちゃったみたいなの。見て、もう空が薄暗いわ。」

   1号は体を起こして、周りを確認した。

   3号「もう帰らなくちゃ。みんな、心配してるわよ。」

   1号「そうか、あっという間に過ぎちゃったなぁ。それにしても、起こされるのは今日で二回目だ。」

   3号「さ、パータッチで急ぎましょう。」

   二人は手をつなぐと、山頂から空の上に向かって飛び上がった。

  

 3、

 

   ロリーナ「ミツオくんてば、何をしているのかしら。遅いわね。」

   時計はもう19時を回っている。ロリーナは焦ってきたようだ。

   空はもう真っ暗。

   皆は、空腹感があった。

   コピー「そろそろ、夕ご飯だと思うんだけど・・・。それまでに、帰ってきてくれないかなぁ。」

   ロン「あーぁ、何か食べたいなぁ〜!」

   ルーシャは立ち上がると、ベランダで外を見ていたパーヤンに近づいた。

   ルーシャ「あの、パーヤン。」

   彼は声に気が付き、振り向く。

   4号「なんか、用でっか。」

   ルーシャ「あの、色々とごめんなさいね。変なこと言っちゃったりして・・・。」

   4号「あぁ、あの事でっか。もう、ええやないか。」

   それを聞いて、ルーシャは少しだけ安心したが・・・。

   4号「パー子はん、記憶取り戻したそうやな。よかったなぁ、ホンマ。今は1号はんと出かけとるらしいけど、また会うのが楽しみやで。」

   ルーシャ「・・・うん。」

   ― ソフィに何て言おうかしら。まさかミツオくんに、恋人がいたなんて思いもしなかったもの・・・。

     二人をカップルにしてあげるって、言っちゃったんだから。

 

   1号「ただいま〜!」

   すると、空の彼方からパータッチをした1号とパー子が部屋に飛び込んできた。

   部屋に風が吹き荒れる。

   本棚に並べられていた本が、数冊床に落ちた。

   二人は手を放すと、荒い息を整える。

   1号「ゴメン、遅くなっちゃって・・・。今、何時?」

   コピー「7時15分だよ。」

   時計を見て、コピーは言った。ソフィは散らばった本を本棚に戻している。

   3号「いつの間にか、寝ちゃって・・・。あら、ブービーとパーヤン!」

   4号「パー子はん、久しぶりやなー!」

   3号「ウィー!」

   ブービーは、パー子に抱きついた。パー子も、ブービーの頭を優しくなでる。

   ロンとソフィは、互いに顔を見合わせて首をひねった。

   ロリーナ「さてと、そろそろ時間だから。ミネルダに帰るわよ。」

   ミツオは、電流が体全体を走ったような感覚がした。

   そして、名残惜しい人達を見つめていく。コピー、ブービー、パーヤン、・・・パー子。

   ミツオはパー着を外した。

   ミツオ「今度はいつ帰れるかわからない。でも、また会えるよ。」

   4号「勿論や。わてら、いつまでも待ってるで。」

   2号「ウイー。」

   ブービーはミツオの足に抱きついた。ミツオはかがんで、ブービーに目線を合わせた。

   ミツオ「元気でやれよ、ブービー。」

   コピー「ミツ夫くん、実技テストも大変だと思うけど、頑張ってね。」

   ミツオ「うん。」

   ブービーはミツオから離れた。

   そして、パー子の方を向く。パー子は、こちらを名残惜しそうに見つめていた。

   ミツオ「もうパーマン辞めるなんて、言うなよ。」

   3号「ええ・・・。ありがとう、ミツ夫さん。」

   そういう彼女の首元には、ロケットが下がっていた。

   皆は外へ出た。須羽家の玄関の前には、行きと同じロリーナの円盤がある。

   コピー「あれ、散歩から帰ってきたときはなかったのに。」

   ロリーナ「姿を消しといたのよ、大騒ぎになると困るから。」

   ソフィ「今は大丈夫なんですか?」

   ロリーナ「時が止まっているのよ。私達は、時の流れの外にいるの。」

   円盤のハッチが開く。5人は、順番に中に入っていった。

   4号「ミツ夫はーん、元気でなぁ!」

   2号「ウィー!」

   3号「立派なバードマンになってね〜!」

   ミツオ「勿論だよ!」

   彼は振り返り、見送る4人に手を振った。

   コピー「ロン、ルーシャ、ソフィも元気でね!」

   すると、ハッチが完全にしまった。円盤は、音を立てて上昇していく。

   窓の外を眺めていたミツオは、ミチ子、カバオ、サブ、晴三に気が付いた。

   時は止まっているが、空き地で何やら楽しそうに話していたように見える。

   しかし、その姿もだんだんと豆粒のように小さく見えなくなっていった。

   上空で円盤が、眩しい輝きを放つ。それから、あっと言う間に円盤の姿は消えた。そして時の流れが戻ってきた。

 

   円盤の中。宇宙空間が広がっていく中で、ソフィはルーシャに声をかけた。

   ソフィ「ルーシャ。」

   考え事をしていたルーシャは、ドキッとする。

   ルーシャ「な、何?」

   ソフィ「パー子さんって、ミツオさんの彼女なんでしょうね。」

   ・・・・・。

   ルーシャ「アハハハハ・・・・!」

   わかってんのかい!

 

   幸い、その会話はミツオには聞こえなかったようだ。彼は小さな声で呟いた。

   ミツオ「また、来るからね。地球・・・。」

   窓の外には、青と緑の惑星。確かに地球が輝いていた。

 

 

 

   それから、しばらくして。

   ミツオ達を無事ミネルダに送り戻したロリーナは、円盤を操縦してバード星に着陸した。

   そして、バード星本部の近くに広がる草原に足を踏み入れる。

   ここは彼女のお気に入りの場所なのだ。

   しかし、ここを気に入っている人物がもう一人いる。ミツオのバードマンだ。

   ロリーナは、彼の姿を発見した。草原の上で、寝転がっている。

   ロリーナ「地球に行ってきたわ。」

   その声に気が付いて、彼は体を起こした。

   バードM「そうか。1号と3号はどうなった?」

   ロリーナ「知ってるくせに。円盤のモニターから見ていたんでしょう。3号は、記憶を取り戻したわ。

         あなたのおかげでね。」

   バードM「・・・・。」

   それを聞いて、バードマンはまた横になった。

   ロリーナはその隣に腰を下ろす。

   ロリーナ「本当はいけないことよ。一度パーマンを辞めた子を、再任命するなんて。」

   バードM「上司にたっぷり、絞られたよ。でも、3号に頼まれたからね。でも、今月の給料はパーだ。」

   ロリーナ「私が刑を半分、もらいましょうか?」

   バードM「あたしの責任だ。結構だよ。」

   すると、ロリーナは首をすくめた。

   ロリーナ「でも、本当に良かったわ。ミツオくん、とても嬉しそうだったもの。あんなカップルを見ると、羨ましくなるわ。

         ねぇ、今のところ、私はフリーよ。」

   バードM「・・・・。」

   すると彼は立ち上がり、ロリーナに背を向けると本部の方へ走っていった。

   ロリーナ「冗談よ!」

   彼女も腰を上げると、慌てて転ぶバードマンの姿を見て笑った。

   

 

   スタッフ「スミレちゃん、アリサちゃん、撮影始めるよ。」

   スミレ「はーい!」

   スミレは返事して、飲んでいたジュースのカップをゴミ箱に捨てた。

   スミレ「行きましょう、アリサさん。」

   アリサ「えぇ。良い映画になるように、頑張りましょうね。・・・そういえば。」

   彼女も空のコップをゴミ箱に捨て、スミレに尋ねた。

   アリサ「今頃だけど、思い出して。あたしがパーマンに穴の中から救出されたでしょ。次に彼がスミレを助けに行った

        時だけど、だいぶ時間がかかったわよね。何をしていたの?待っている間に、警察に発見されたのよ。」

   スミレ「それね・・・、何でもないのよ。本当に。さ、撮影に遅れるわよ!」

   アリサ「・・・そうね!」

   すると二人は、呼んでいるスタッフの方へと駆け出した。

   

   

 

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