LIKE A SHOOTING STAR                    

          ミツオ留学後の世界を描いた、連載ストーリーです。

 

 21、ミネルダ流トルネード

 

       なかなか良い感じだ。

   やはり元の姿のままでは自由に動けないし、人類の征服もしにくい。

   二本腕、二本足・・・これが人間か。居心地も悪くないので、すぐに慣れるかな。

   もと居た暗い部屋を抜けて、足慣らしに近くを彷徨いていると、一つの部屋に目が留まった。

   鍵がかかっていたけど、開けるくらい今のぼくにも容易いこと。

   そこには数え切れないほどの複雑な機械とモニター。部屋は電気がついていないので、相変わらず暗かった。

   モニターの一つ一つに、宇宙空間に浮かぶ、それぞれ異なった惑星が映し出されている。

   その一つに、「ミネルダ星」と下に小さく書かれたものがある。

   どうやら、君にはこの星に心当たりがあるみたいだね?

   いやいや、今のぼくには抵抗は出来ないよ。君が教えずとも、記憶を探ればすぐに答えはわかる。

   ぼくはこの体の持ち主に問いかけた。

   そうか・・・このミネルダ星というのに、あのミツオがいるんだね?

   そのモニターに映っている、軌道に乗って周回する人工衛星。

   見せてくれよ、ミツオ。君は仲間を信じていると言った。

   じゃぁ、その仲間との絆というものを、ぼくに見せてくれよ・・・ミツオ。

 

 1、   

   「でも、元はと言えば、あんた達が割って入ったから失敗したのよ!」

   マリンカ「それはあなた達の方よ。大体ここは、アレイス大陸。モイラーのパーマンには関係ないでしょ!」

   新聞社の上空で。活躍を得ようと試みた善意は失敗に終わり、

   アレイスとモイラーのパーマンは互いに責任を押しつけようと、睨み合っていた。

   ネオ「マリンカ、落ち着いてよ。確かにぼくたちも悪かったよ。ごめんね、君たち。」

   彼は間に割って入る。

   「な、何だ。そっちの君は、ちゃんと、わかっているじゃないの・・・。」

   ネオ「ぼくは、このアレイス大陸のパーマン1号こと、ネオ・コレットだよ。」

   穏やかで協調性のあるネオは、モイラーの男女二人に手を出した。

   二人は顔を見合わせるが、やがて一つ咳払いをしてその手を取った。

   「オレたちも悪かったよ。オレは1号のサルダ・ワイアット。こっちは2号のアリア・セイスメットだ。」

   そう言って二人はマスクを取った。黒髪に、つばを後ろに回して被った青いキャップの少年。

   赤茶色に黄色の髪留めを付け、白い高貴なワンピースをまとった少女。

   それを見て、マリンカもマスクを外した。

   マリンカ「あたし、マリンカ・アンドルースよ。こちらこそ、ごめんね。これからは同じパーマンとして助け・・・。」

   サルダ「あっ!あんなところに10円が!」

   ヘコー!

   マリンカの話の途中にも関わらず、道に落ちていた小銭を求め、急降下していったサルダに彼らはヘコった。

   アリア「ちょっとサルダ!10円なんて、どうでもいいでしょ!」

   その後を追うようにアリアは叫ぶ。それに対し、小銭を拾った後でサルダも振り返り、睨みをきかせた。

   サルダ「馬鹿野郎!10円を笑う奴は10円に泣くぞ!」

   すると、たちまち口論に発展。

   マリンカとネオは呆れて、それを見ていた。次第にそれは、体を張った激しい戦闘に・・・。

   マリンカ「ちょ、ちょっと。話の途中だし・・・。たかが10円、どうでもいいじゃないの。」

   思わず口を挟んだ彼女に、サルダは突然動きを止めて、キッと目をつり上げた。

   ネオとマリンカは思わずビクッと肩を震わす。

   サルダ「お金を馬鹿にする奴は許さねぇ・・・!それが、1円だったとしてもだ。

   彼の険しい表情に、二人は立ちすくんだ。

   サルダ「そりゃぁ・・・お前らには、どうせわからないだろうさ。特に、アリアにはな。」

   そう彼は感慨深くつぶやいた。

    サルダ「・・・昔のオレは本物の馬鹿だったんだ。今なら嫌というほどわかる・・・失われたものの有り難みが。」

   ・・・・。

   マリンカ「アリアにはわからないって・・・どうして?」

   ネオとマリンカはアリアを見た。彼女が来ている純白のワンピースは、見れば見るほど高級感の溢れる素材で

   出来ているようだ。かなり高価なものには違いない。

   マリンカ「そのワンピース、とっても素敵ね。でも、おいくらくらいするの・・・?」

   アリア「あぁ、ほんの10万くらいだけど。」

   あぁ、10万か・・・。って10万ッ!?

   ネオとマリンカの表情は、驚きの色で染まっていく。

   サルダ「セイスメット・リゾートって聞いたことあるだろ?」

   ネオ「えっと、確かモイラーにある、有名な温泉リゾートだよね。一つの山が丸ごとホテルの敷地になっていて、遊園地

   やスキー場でも遊べる楽しいところだよ!ぼく小さい頃に一度だけ、行ったことがあるんだ。」

   サルダ「こいつの父親、その経営者なんだよ。」

   そう言い放ったサルダに、二人は思わず口を開けた。つまりアリアは大金持ちのお嬢様!

   ― 通りでセイスメットって、どこかで聞いたことがあると思った・・・。

   アリア「別に大した事ないわよ。こいつだって、元はといえばお坊ちゃまだったんだから。」

   ネオ「え・・・!そうなの!?」

   そう言ってアリアが指さしたサルダに、二人は顔を向ける。しかしサルダは、憂鬱な顔で、下を向いていた。

   先ほどまで10円が大事と力説していた彼からは、確かにとても想像できない。

   サルダ「昔の話だよ。オレの父親は結構大きな会社の社長だったんだが・・・不況で潰れちまって。家も売り払って、今

   は父親の実家に住まわせてもらってるし、オレも学校の後で借金を返すために働いているんだ。」

   それを聞いた二人は何も言えなかった。それならば、この二人が対立するのも無理はないだろう。

   貧乏なパーマン1号、裕福なパーマン2号。

   無論、二人を任命したバードマンは彼らの家の事情など知らなかったわけだが・・・。

   サルダ「まっ、こんな話はもういいだろ。とにかく、アレイスなんかには負けないように、モイラーに戻ってパトロール

   でもするか。」

   マリンカ「あ、あたしたちだってモイラーには負けないんだからね!」

   ネオ「折角こうして知り合えたんだし、仲良くやろうよ、みんな〜・・・・。」

   ピピピピピ・・・・―

   その時だった。四人のパーマンバッチが急に音を上げたのだ。

   ネオ「は、はい!こちらネオ。」

   ミツオ『ネオ、マリンカ!大至急、アレイスの港町ルニアまで来てくれ!!』

   尋常でないほどのミツオの慌てた声。変に思ったネオは問い質した。

   ネオ「一体どうしたっていうの?」

   ミツオ『ミネルダの人工衛星の一つがルニア付近に落ちてくる・・・。最悪、アレイスは火の海なんだよ・・・!』

   人工衛星で、火の海!?

   二人は顔を見合わせた。それはミネルダパーマン至上始まって以来の、絶体絶命の危機であった。

 

 2、

   マリンカ「これはこれは、どうしてモイラーのパーマンがここにいるのかしら?」

   アリア「あたし達もバードマンから、人工衛星をどうにかしろって連絡が入ったのよ。」

   アイレスの小さな港町ルニア。

   モイラーとの間に挟まれた海洋に面し、昔から漁業で栄えてきた町だ。

   それ故に人口も多く、人工衛星が落ちてくるというニュースを聞いて、震えている人は大勢いるはずだ。

   ルニアの上空にネオ、マリンカ、サルダ、アリア。そしてミツオが集まっている。

   「おーい!遅れてすみません!」  

   すると、向こうの空から二人の人影が飛んでくるのが見えた。

   彼らは知っていた。このパー着した男女は、さっきテレビで見たオリーブのパーマン1号、2号だ。

   サルダ「ケ、ケルナさんだ・・・。」

   どうやらサルダ達は、既にオリーブ・パーマンと顔を合わせたことがあるようだ。

   マリンカには、サルダの顔が少し火照った気がした。

   ネオ「まさか・・・ミネルダのパーマン大集合なの?」

   ミツオ「そう。今回はネオとマリンカだけでは何ともできそうにないからね。四大大陸全員のパーマンの助けが必要

   なんだよ。」

   サルダ「でもまだ、ミュースのパーマンが来てないようだけど?」

   ミツオ「彼らは遅れてくるって聞いたんだけどさ・・・。」

   

   ミツオ『人工衛星が落ちてくる!?』

   PBハウスの二階。モニターに映し出されたのは、猛スピードで落下する人工衛星だった。

   ソフィ『緊急事態です。ミネルダのパーマン全員集合、皆さん連絡してください!』

   ロン『ミツオも早く!このまま落ちたら・・・大勢の命が・・・っ!』

   ミツオは言われるがままにパー着して飛び出そうとした。彼らはそれぞれのパーマンに出動命令をかけたが、

   ルーシャはミツオを呼び止めた。

   ルーシャ『悪いけどミツオくん。ミュースのパーマンはちょっと遅れてくるみたいよ。あの子達、何か考えがあるのよ。

   決してやる気が無いわけではないから。』

   

   そうは言っても・・・。

   アリア「遅れてくるなんて・・・この緊急事態なのよ!あの人たち、事がわかっているのかしら!」

   「まぁ、とにかく今は、ぼくらだけで人工衛星を何とかしましょう。」

   オリーブの男パーマンは一度マスクを外し、クリフと名乗った。焦げ茶の髪に太縁の黒めがね。

   空色の髪とクリッとした瞳の少女、ケルナは温かく微笑んだ。

   クリフ「こうしている間に人工衛星は猛スピードで、ここ目がけて落下してきます。」

   ミツオ「でも何とかするってどうやって・・・?」

   するとクリフは腕を組んだ。彼らも必死に脳をフル回転させようとする。

   ケルナ「大気圏を抜けるとき、衛星は加速によって発火するよね。まずは、その火を消さないと、どうにもならないよ。」

   クリフ「そうだ!ぼくとケルナが近くのプールから水を運んで、火を消すよ!だから君たちは、その下に待機して、

   衛星を受け止めてくれるかな?」

   彼の咄嗟の提案に、迷っている時間などなかった。

   ソフィからの通信によれば、衛星は確かに大気圏を抜け、こちらに迫っている。

   ミツオ「ぼくは水を運ぶのを手伝う!他の皆は、衛星を受け止めてくれ!」

   ネオ「わ、わかった!」

   もはや考えている余地はなかった。ミツオ、クリフ、ケルナは近くのプールを持ち上げて、パータッチで上昇した。

   しばらくすると、遥か上から何か落下してくるものが見えた。

   クリフ「あれだ!ここを通ったら、水を一斉にかけよう!」

   ・・・と、その時だった。彼らの横をすれすれに何かが目にもとまらぬ速さで落下していった。

   ミツオ「え・・・?」

   

   マリンカ「そろそろ来るかしら・・・。」

   アリア「見て、上!」

   人工衛星が落ちてくると思われるルニアの上で、四人は待ち構えていた。

   アリアの声で上を見上げると、上空から猛スピードでそれが落下してくる。そして、彼らは目を見張った。

   サルダ「おい・・・火!消えてないんじゃないか!?」

   ネオ「来る・・・来るよっ!どうするの!?」

   予想を遙かに上回るスピードで迫り来る衛星の真下で、彼らは戸惑った。あんなスピード・・・受けられない!

   このままじゃ・・・ぶつかる!

   「危ないッ!!」

   衛星がまさに自分達に衝突するだろうと思わず目を瞑った刹那、彼らは真横に勢いよく、はじき出された。

   人工衛星は通り抜け、ルニア目がけて落ちていく。

   ネオ「た、助かった・・・。」

   落下の軌道からずれた四人は、思わず安堵した。見上げると、太陽を背に、一人のパー着した少年が

   彼らを見下ろしていた。

   「馬鹿か、お前らは!?とんでもない速さで落ちてくる衛星の真下で棒立ちなんて、自殺行為だぞ!」

   黒く光るマスク、揺れるマント。彼がぼくたちを救ってくれた・・・ネオたちにはわかった。

   しばらくして、ミツオ、クリフ、ケルナが慌てた様子で戻ってきた。

   ミツオ「ごめん、火は消せなかった・・・大丈夫!?」

   ネオ「な、何とか・・・。君は・・・もしかしてミュースのパーマンなの?」

   黒い少年は何も答えずに真下を見た。もう時間が無い。

   クリフ「は、早く何とかしなくちゃ!もう一度・・・もう一度、今の作戦を!」

   「無駄だ。」   

   彼は冷たく言い放った。

   「燃える衛星をプールの水なんかで消せると思ったのか?大体、あのスピードだ。パーマンといえども、人間が

    素手で受け止められるものじゃない。」

   彼の言うことは尤もだった。クリフをはじめ、パーマン達は思わずうつむく。

   本当にあれを止めたいと思うなら、オレに一つ提案がある。それには今は待つことだ。」

   サルダ「ま、待つだって!?時間がないって言ってるんだ!馬鹿かおま・・・。」

   「馬鹿はお前だ!こんな時こそ冷静になれ。もう少し・・・もう少し待てば、きっとあいつが・・・。」

   「待たせたな〜!」

   その時、彼らに一人の少女が飛び込んできた。彼女は急停止すると、その少年に向き合った。

   マスクから、黄色のサイド三つ編みが伸びている。

   「言われた通り、ミネルダ航空宇宙局に行って調べてもらったよ。衛星が落下するのは、海の上さ。あそこらへん。」

   弾んだ口調の少女は海上の一点を指さした。

   「ふん、ほぼオレの計算通りだな。おい、皆急いで輪になれ!海面の上で、フルスピードで回るんだ!」

   アリア「ど、どうして・・・?」

   「説明なんてしている時間はない!アレイスを助けたいだろ!早く、輪になれ!」

   時間がない今、それに従うしか可能性はないようだ。

   九人のパーマンは両手で相手の足をつかみ、一つの輪を作ると、少女が指した海面に急降下した。

   「回れー!」

   パーマンマントは繋がって飛ぶと、時速が倍になる。119キロの倍の倍の倍の・・・とても息が出来ないほどの速さ

   だった。苦しいが、声にも出せない。

   やがて円の中心から海の水が巻き上がり、水の竜巻を作り上げた。

   それは猛スピードで空へ上昇していく。

   やがて、ちょうどこの上空に落下してくる人工衛星が現れた。

   (来た・・・っ!!)

   上から凄まじい速さで落ちる衛星。下から凄まじい速さで巻き上がる水の竜巻。

   それはぶつかり合い、互いの勢いを相殺した。そして海水は、燃え上がる炎を消し去った。

   「よーし、いいぞ!」

   パーマン達は手を放した。黒いマスクの少年はサッと飛び上がり、下から勢いを失った衛星を支えた。

   「はぁ・・・一先ず助かったな。」

   ズシッと重みがのしかかる。援助を求めようと下を見ると、猛スピードの回転で目を回したパーマン達が、次々と

   海水に落ちていく姿が見えた。

   「ちょっ、お前ら!衛星支えるの、手伝えよー!」

   テレビのニュースが騒ぎ立て、絶望に震えていたミネルダの住民。

   そして、今歓喜の声と喜びが、この小さな星全体を包んだ。

 

3、

   ネオ「良かった・・・、本当に良かった。」

   ネオとマリンカはホッと胸をなで下ろした。家族が助かった。アレイスに住む大勢の命が助かった。

   余裕がなくて何も考えられなかったが、もし衛星が落ちていたらと思うと、失っていたかもしれない大切なものが

   数え切れないほど、ここにはあった。

   ケルナ「あなた、とっても頭がいいのね。短時間で、あんな策を思いつくなんて。」

   「そうだよ、トーサは天才なのだ!どんな難事件も、トーサに解けないものなんて、無かったんだ。」

   三つ編みの女の子が得意になって言った。

   それを聞いた彼は、相変わらず無愛想に応える。

   「大したことじゃねぇよ。どんなに時間がない時でも、策略が無ければ何も出来ねえ。今回はミネルダの航空宇宙局に

   衛星が落下する正確な地点を教えてもらうために、行くのが遅れたのさ。

   一足早く、オレがこっちへ向かったんだがな。」

   マリンカ「あなたが助けてくれなかったら、あたし達、衛星に衝突して死んでいたかもしれないものね。」

   そう思うと恐ろしい。それを聞いたクリフは、思わず顔を伏せた。

   クリフ「ご、ごめん。みんなを危険な目に遭わせてしまって・・・。」

   ネオ「でも、ぼくは何も解決策を思いつかなかったんだし・・・。君だって、頭がいいんだね。」

   クリフ「えっと・・・君・・・何て名前だっけ?」

   クリフは黒マスクの少年に尋ねた。

   「別に覚えるものでもないけど・・・、オレは2号のトーサだ。で、こっちがオレの相方のコーラ。」

   「ミュースのパーマン1号だよ、よろしく!」

   無愛想な少年とは対照的に、さっぱりとした明るい少女はパッと笑顔を浮かべた。

   コーラ「トーサはIQ160以上の持ち主だからね!あれくらい、トーサには朝飯前ってところかなっ。」

   「IQ160!?」

   皆の声が合わさった。人間のIQは大体100前後・・・それを大きく飛び抜けた160。

   ミツオ(そうか。ルーシャが彼らには考えがあると自信を持っていたのは、こういうことだったのか・・・。)

   ケルナ「ねぇ、みんな疲れたよね?良かったら、ケーキを焼いていたんだけど食べに来ない?」

   サルダ「行く!行きます!」

   それにいち早く飛びついたのは、サルダだった。彼は頬を赤らめて、ケルナに飛び寄る。

   サルダ「流石、やっぱりケルナさんはお料理が上手ですね!ぼく、ケルナさんのケーキなら何個でも食べますよ!」

   マリンカ「な、何なの。この人の変わりよう・・・。」

   ネオとマリンカは呆気にとられたように、そんなサルダを見ていたが、アリアは興味なさそうに宙を見ていた。

   今まで挨拶も交わしたことがなかったミネルダのパーマン達。

   何だか騒がしい毎日が始まる・・・ネオとマリンカには、そんな気がしたのだ。

 

 

   「なるほど・・・、まあまあ頑張ったじゃないか。」

   その様子をミネルダの上空で眺めていた、一人の少年の姿。

   黄緑の髪は風に揺れ、海のように透き通った瞳は、真っ直ぐ地上を見下げている。

   「この星全ての人の、人工衛星が落ちてくるという絶望・・・。そして、その危機を免れたという安心と喜び。

   13億のその一つ一つは、膨大なエネルギーになるはずだったが・・・。」

   全く集まってこないな。まるで、感情を持たないロボットかのようだ。

   何故だ?こんなことは有り得ない・・・。

   ― そ、それは・・・この星が・・・架空の・・・。

   なるほどね。

   所詮、ツクリモノってわけか。空しいことだな。

   じゃぁ、どこでなら感情エネルギーが手に入る?まぁ、ともかく・・・。

   ミツオはこの試練を切り抜けてしまった。と、言っても、ぼくはまだ力が足りていないのだから、こんな些細な

   絶望しか生めなかったけど、本気を出したらもっと・・・。

   

   とにかく、エネルギーを集め、知識を得なくては・・・だね。

 

 

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